中央区第九の会の歌舞伎座公演で第九を歌った。
10:30、合唱団は歌舞伎座の地下食堂に集まる。私は、初めて歌舞伎座の中に入った。
天井があまりにも低く、270人もの合唱団全員がぎっしり食堂に入ったので、熱気で酸欠になりそうだった。
銀中の校長先生が、「子どもたちが校外学習へ行くようなワクワクした気持ちを感じます。この気持ちを本番まで保ってください!」と。
最年少13才から最年長85才までの年齢層に幅のある合唱団。みんなワクワク、ドキドキしていて、先生のお話に大きく納得。
発声練習は途中からEMA先生に。
先生に発声の仕方を教わると、不思議と声が出てくる。魔法をかけられたよう。
11:30ころ一度解散。持ってきた軽食をテーブルで食べる。
12:00に入退場や場所の確認、リハーサルのため、歌舞伎座の舞台へ向かう。何と、入り口から一度でて、外の道をぐるりと歩いて、楽屋の入り口へ向かう。通行人の人たちはこの行列は何事?という目で見ていて、恥ずかしかった。楽屋の入り口へは地方公演のための道具や衣装の箱がぎっしり積まれていた。狭い入り口から中へ入ると、下駄箱があり、受付があり、神棚が置かれていた。みんな手を合わせていた。
その脇は楽屋になっている。
床はぐわんぐわんとたわんでいて、天井にはたくさんの電気の線や配管がむき出しになっている。その廊下の角を曲がって階段を上がると、すぐ舞台の下手側に出る。建物全体はとても古く、木の床はかなり傷んでいる。ところ狭しと大道具がおいてあり、天井には何枚もの板が吊り下げられている。
この公演が終わった後、建て替えられると言われていたけど、その予定は少し先に延びたそう。
あまりに古いから、かなり老朽化していて、いろいろ不便はあるのだろうけど、歴史ある建物を壊してしまうのは残念という気もする。
昔からの器具や装備をとても大事に使っている様子が伺えた。
舞台の裏側をまわって上手側から舞台へ上がる。歌舞伎の舞台へは女性は上がることはないし、土足でも上がらないけど、今回は特別に許可していただいた。豪華な?舞台セットが組み立てられていて、板で作られたひな壇にはスポンジのシートが張られてた。
照明が当たっていて、まぶしく、かなり暑い。
自分の定位置についた後、オーケストラが入ってきて、ソリストも参加して、第4楽章のリハーサルを開始した。
指揮者の石毛先生はリハーサルで、何度も気になるところをやり直し、最後の最後まで練習をした。
見所
その①
なんといっても歌舞伎座という会場
その②
オーケストラも合唱もアマチュア
合唱団は最年少13才から最年長85才という年齢の幅の広さ
その③
年末にトリトンで一度本番を経験したので少し余裕?
その④
武蔵野音大助教授の松井徹先生の指導を受けた
その⑤
第4楽章のバリトンのソリストが花道から登場する
(これはリハーサル時、合唱団一同感動のどよめきがおこった!
Freude!と歌うとき、合唱団の方を向いて問いかけるように歌う。
オペラ風)
思いつくのはそのくらいかな。
その後、一度食堂に戻り休憩。
圧迫感のある食堂にはとてもいられないので、歌舞伎座のすぐ隣にある文明堂の喫茶店へ行きランチをした。
ここのフレンチカステラが一度食べてみたかったから。
ミニハヤシライス(おいしかった!)とフレンチカステラオーダー。
フレンチカステラはフレンチトーストのカステラ版でおいしかった。
15:30の開演時間と同じ時間に戻り、あわてて着替え。
その間オーケストラは「シャコンヌ」を演奏している。
すぐにまたぞろぞろと外の道をとおり、楽屋入り口へと向かった。
ドキドキ緊張感が高まってくる。
幕は降りている。スカートがかかとに引っかからないよう、すぐ立てるように浅い座り方にして席に着く。
開演5分前、歌舞伎座ならでは、拍子木が1回「カン」
開演時2回「カン・カン」と打たれた。
すると、歌舞伎カラーの幕の前に立っていた4人の黒子が幕を手で持ちながら、順番に走って引いていく。それはそれは見事なお仕事。
目の前に満席のお客さんが現れた。
お客さんに圧倒されるというより、ちゃんと歌えるかな、声がきちんと出るかなという心配でドキドキ。
照明の熱さと緊張とで、手に汗びっしょり。
指揮者の汗がしたたり落ちるのがこちらまで見える。
第4楽章の出番まで長いこと。浅く座ったおしりが痛くて、早く立ちたかった。
花道からバリトンのソリストが登場するとき、合唱団が一斉に立ち上がる。さっき注意されてた男性の歌いだし。素晴らしい!
何度も何度も歌い、注意された、631小節の「Ihe sturzt nie der」のところ。何とかクリア。ひとつひとつ練習のときに注意されたところを思い出し、丁寧に歌っていく。
795小節「Deine Zauber deine Zauber」やばっ!フライングしそうになった!
そして、855小節の「Seidum schlungen~」からは、あ~終わっちゃう、終わらないで~!という気持ち。
歌い終わって、拍手をもらったときの気持ちのいいこと。
達成感ともう終わりなんだという寂しい気持ちが交差する。
花道からソリストの方々が出てきて、手ぬぐいを客席に投げる。
そして、合唱指導の松井先生が花道から出てきた。
出演者なのだから、拍手はしないでと事前に言われていたけど、みんな思わず、拍手!
長い長い拍手をもらい、ようやく幕が閉じた。
幕が閉まった後、ソリストの方々 指揮者の石毛先生、そして、松井先生、校長先生、ヴォイストレーナーのEMA先生がオーケストラと合唱の真ん中に出てこられて、団員からの感謝と感激の拍手。
幕の内の一体となった空間に、なんともいえないくらい感動した。
ああ、ここにいられて本当に良かった。この会に参加して本当に良かった。
また第九を歌いたい!